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青森ねぶた健康研究所は青森大学に設置された創薬目的の講座でAMEDの支援を受けて発足しました。当講座の前身、ワクチン免疫学分野は2017年4月に産業創出講座として北海道大学本部が医学研究院に設置しました。設置の趣意はワクチンアジュバントの創製を企業と連携して推進することです。具体的なタスクは樹状細胞を標的とする免疫増強アジュバントとして国内外で要望の高いARNAX(別項参照)を臨床試験に導出することです。平たく言うと、免疫を強める薬を作って、健康長寿に貢献することを目指します。


がんワクチン

がん治療において、免疫療法は手術、抗がん剤、放射線療法に続く第4の治療法として近年注目されています。免疫は、異物を認識し排除する機構であるとともに、過剰な免疫反応を制御し自己を防御する仕組みを内包しています。PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤は、免疫の負の制御機構を解除することで免疫系を活性化させ、がん退縮を導きます。しかし、免疫チェックポイント阻害剤が効果を発揮するのは固形がんで20˜30%であり一部のがん患者に限られます。PD-1抗体の奏功例では腫瘍反応性細胞障害性T細胞(CTL)が存在し腫瘍内に浸潤していることから、抑制解除で再活性化されたCTLによるがん攻撃がおきたと考えられ、がん退縮におけるCTL誘導の重要性が再認識されました。


感染症ワクチン

人類は多様な微生物環境に常時晒されて生存を維持しています。ヒトの集団は感染淘汰を通して個体ごとに不均一な感染応答性を示します。微生物自体よりも宿主の応答性が感染症の主体をなしています。一方、ワクチンは「感染の2度なし現象」と「ジェンナー以来のワクチン」の文脈から経験的に語られてきました。ワクチンは抗原とアジュバントから構成されています。免疫応答は微生物を回避する本質的な仕組みとして成立したと言えますが、ワクチンに対する免疫応答は感染症ごとに個体差があり、ワクチンはアジュバントによるブーストが必要になります。また過剰応答が宿主に適正でない反応を誘起する副反応も存在します。感染症ワクチンにおいても高齢者・基礎疾患保持の患者にも使える安全性の高い汎用性アジュバントの開発が必須課題となっています。


TOPICS


共同研究機関


旧免疫学分野での研究